クレオパトラもカツラだった 古代エジプトのカツラ事情

以前もご紹介しましたが、カツラの歴史は古く紀元前の古代エジプトまで遡るとされています。
古代エジプトの人たちはなぜカツラを使うようになったのでしょうか。

古代エジプトでのカツラの始まり

古代エジプトの祭司たちは、宗教上の理由があり髪の毛を切り、坊主頭にしていました。
エジプトはしかし、エジプトは年中強い日差しが照りつけるため、髪がないと直射日光を直に浴びることになります。
現在と気候が多少は違っていたでしょうが、残っている記録で最高気温が51度を記録したことのあるエジプトで髪の毛なしの状態は熱中症コースまっしぐらですね。

また、直射日光だけでなくハエなどの害虫からも頭を守らなければいけないため、頭を守るためにかつらを被るようになってきました。

カツラの目的が防護からおしゃれに

当初は健康や衛生面からカツラの着用がすすめられてきましたが、だんだん権力の象徴や装飾品としての側面が強くなってきました。
ファラオ(王)や権力のあった人の墓から、カツラが見つかるようになったのです。

貴族や大金持ちは人毛をふんだんに使った長いカツラを被り、中流階級の人々はそれを動物の毛や植物で代用しました。やがて色を付けたり形を変えたりと、様々な工夫が行われるようになり、かつらは防護といよりファッションへと発展していきました。
胸まであみあみ込んだお下げにリボンを結びつけたものや、花飾りや巻毛などをつけたウィッグなどが使われたようです。

古代エジプトでは良い家柄のものは、男女に関係なくカツラを被るために丸坊主(実際はベリーショートくらい)だったそうです。

カツラとともに育毛剤も発明

古代エジプトでもカツラをかぶると言ってもハゲに悩む人はいたらしく、今のところ最古の育毛剤が作られたのはエジプトなのです。
紀元前から育毛剤が作られていたとは奥が深い…。

当時の医学書に書かれた発毛治療としては、カバやワニ、オスの猫、ヘビ、アイベックスというヤギの糞や脂肪を混ぜ合わせた薬を使うと効果があるとされていました。
保湿という面では効果があったかもしれませんが、髪の毛がこの育毛剤では変化することは期待出来なさそうです。
材料に指定された動物は迷惑な話ですね…。

クレオパトラもカツラを被っていた

あの有名なクレオパトラもカツラを被っていたと言われています。
クレオパトラといって頭に思い浮かべるあの黒髪のおかっぱな髪型はカツラだったのです。
何だか衝撃ですね。

では、クレオパトラもカツラだということは、クレオパトラ丸坊主にしていたのか、というと丸坊主にはしていなさそうです。
クレオパトラの美術館に残っている彫像や絵画などから見ると、黒髪のオカッパ姿だけでなくギリシア人の巻き髪姿のものも残っているからです。

クレオパトラは元々はエジプト人ではなくギリシア人であったため、他のエジプト人とは違いギリシア人の巻き髪である地毛を活かしつつ、エジプト風のカツラである髪型で生活していたと推測されています。